日々の喧騒の中、優しい気持ちになれることが本当に少なくなってきたように感じます。
そんな中で、何となくボタンを押したら始まった1本の映画。
今回は皆さんにも幸せのおすそ分けをしたいと思い、この映画をご紹介した思います。
脚本:三島有紀子
キャスト:
水縞りえ - 原田知世
水縞尚 - 大泉洋
あらすじ
舞台は北海道の有珠。
美しい洞爺湖を望む高台でcafe Mani(マーニ)を営む水縞夫婦。
美味しいパンと美味しいコーヒーが自慢の木の香りでいっぱいのcafeで様々なドラマが展開されていきます。
常連さんはいつもトランクを持っている阿部さん(あがた森魚)、子沢山の広川さん一家、地獄耳のガラス職人の陽子さん(余貴美子)、郵便屋さん(本多力)。
cafeの2階は簡易宿泊所になっていて、朝から尚が焼くパンの良い匂いが広がっているようです。
毎日ゆっくりと時間が流れているこのcafeからは夜になると美しい月を見ることもでき、正面にあるバス停には遠方からの旅行客がやってくることもあります。
第一話 失恋旅行の女性客
第一話は夏の北海道から始まります。
ある日、一人の若い女性がマーニにやってきました。
彼女の名前は香織(森カンナ)。
彼女のトランクにはなぜか沖縄旅行のパンフレットが入っています。
笑顔もなくふてくされた様子でやってきた香織に、水縞夫妻は優しく「いらっしゃいませ」と声をかけました。
湖の湖畔で友人と電話をする香織。
友人には「沖縄のお土産を買っていくからね」と約束していましたが、実際は方角が真逆の北海道。
ため息をつく彼女はその夜ワインを飲みすぎて酔っ払い、自分が失恋してここへやってきたことをぶちまけ始めます。
そこにたまたまお店に来ていた地元の青年・山下君(平岡祐太)に酔っ払った香織はいきなり絡んで、山下君を怒らせてしまいます。
その夜、マーニの前の草原でジタバタと泣き喚く香織を見て山下君は大笑いしました。
怒る香織はビーチサンダルを投げつける始末。
そんな夜から一夜明け、二日酔いの香織にりえは淹れたてのコーヒーを差し出し、その後一緒に食材の買い物に出かけるのでした。
素直な笑顔を見せる香織に山下君は少しずつ惹かれ始め、また香織は水縞夫妻のもてなしによって少しずつ心の傷が癒されていくのでした。
第二話 未久ちゃんとかぼちゃのポタージュスープ
秋になり栗拾いを楽しむ水縞夫妻。
ある日二人で洗濯物を干していると、目の前のバス停で乗るはずのバスに乗らずたたずむ少女を見つけます。
少女の名前は未久ちゃん(八木優希)、小学生です。
りえはそんな未久ちゃんをお店に連れてきて、ホットミルクを差し出します。
パンの配達も兼ねて未久ちゃんを学校へ送り届けた尚でしたが、少し気にかかっていました。
授業が終わり家に帰った未久ちゃんは、家の鍵を開けて中に入るとダイニングには書置きと1枚の1,000円札を見て寂しげな表情を浮かべます。
シンクには汚れた食器がそのままで、部屋も少し散らかっていました。
未久ちゃんは床に座り込んで、電気もつけずに昼間の給食で出されたマーニのパンをカバンから取り出し食べようとしていたところにお父さんが帰ってきます。
翌日、未久ちゃんをバスに乗せたお父さんはマーニの存在に気付きお店へやってきます。
「かぼちゃのポタージュスープはありますか?・・・いえ、なんでもないです。コーヒーをください」と言い直しました。
その後、再びマーニに現れた未久ちゃん。
りえがそっとかぼちゃのポタージュスープを出すと、なぜか未久ちゃんは、
「絶対にいらないから!!!」
そういってお店を飛び出していきました。
実は未久ちゃんの両親は離婚してしまい、かぼちゃのポタージュスープはお母さんの思い出が詰まったスープだったのです。
その夜、水縞夫妻は未久ちゃんとお父さんにそれぞれ招待の手紙を書きました。
その手紙は次の日郵便屋さんによって未久ちゃんとお父さんの元へ。
手紙を見た二人はマーニにやってきて久しぶりに一緒に夕食を共にし、やがて未久ちゃんが心に閉じ込めていた本当の気持ちをお父さんに打ち明かします。
第三話 老夫婦とお豆のパン
冬の北海道。
猛吹雪の中、有珠駅に降り立った老夫婦(中村嘉葎雄・渡辺美佐子)がいました。
おじいさんはマーニに電話をかけ、「少しだけ休ませてください」ということで尚が車で駅まで迎えに行きました。
老夫婦は北海道で出会い、その後結婚して一人娘が生まれて・・・という話を車中で話すのですが、咳き込むおばあさんに「もうちょっとやからな」と言い聞かせるおじいさんの姿に、何となく様子がおかしいと感じる尚。
お店に着いてから暖炉の前で暖を取る老夫婦に「何か温かいものをお作りしましょうか?」とりえが聞くと頷くものの、メニューボードを見て「パンが嫌いで・・・」と言うおじいさん。
それじゃあご飯にしますねと言うもののお米を切らしていたため、尚は急いで広川さんの家へ向かおうとします。
出かけ間際、りえに「ちゃんと見ててね、なんか様子がおかしいんだ」と言って出かけた尚でしたが、その予感は的中していたのでした。
ウトウトとするおばあさんの頭を抱き寄せて辛そうにするおじいさん。
一方、広川さんの家に付いた尚は、お米を受け取って大急ぎでマーニに戻ります。
マーニではおじいさんがおばあさんに「そろそろ月を見に行こうか」と言い、外へ出ようとしてりえに止められます。
そこへ戻ってきた尚が「月なら中から見えます!!」と、再び店内に戻しました。
また吹雪き出して月が見えない店内では、りえがそっとおじいさんに声をかけました。
すると、老いと共に出来なくなっていくことばかりだとうなだれるおじいさんは身の上話を始めます。
そうするうちに温かい食事が出来上がり、老夫婦の座るテーブルに炊き立てのごはんと一緒に美味しそうな料理が並びました。
そこへたまたま焼き立てのお豆のパンをカウンターに出したところ、おばあさんが気付いて手を延ばしました。
「お前、それパンやぞ!嫌いやろ?」と止めるおじいさんをよそに、お豆のパンを口に運んだおばあさん。
「美味しい!私・・・このパン、明日も食べたい」と言い、おじいさんに「お父さん・・・ごめんなさいね」と謝るおばあさんに「わかった・・・」と泣き出すおじいさん。
ここでこの老夫婦が北海道へ来た意味がようやく分かります。
その後、少しの間マーニで過ごすことになった老夫婦は、最後は笑顔で帰って行くのでした。
さいごに
映画を楽しんで頂きたいので、ざっくりと断片的にご紹介しました。
この映画の中に出てくるcafe Maniの店内の木がかもし出す柔らかさや、心を込めて作られている美味しそうなパンや料理、そして一話ごとに込められた人とのつながりやあたたかい気持ち、そういう大切なことをふと気付かされる、そんな素敵な映画でした。
毎日を忙しなく過ごす私たちにとっては、少し癒されるような気がします。
四季折々に表情を変える北海道の景色と共にお楽しみいただければと思います。
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